2013年5月7日火曜日

町の中のヒョウ

ナイロビの町にはヒョウがいるんです。

4月18日、市民から通報がありました。
「夜、近所でヒョウを見かけた人がいる。」
「夜中に、うちの屋根を歩いてた」

現場に行ってみると、家の敷地の中にヤギを飼っているお宅でした。
ヒョウはそのにおいをかぎ分けてやってきたのでしょう。


写真の中央、木の扉になっているところが、夜、ヤギとヒツジを閉まっている場所です。
雨の時期になると、野生動物の獲物を捕るのが難しくなってしまうため、
家畜被害が増えてしまいます。

どうして雨期になると野生動物を捕るのが難しくなってしまうかというと、
第1に、雨が降ると、一面緑の草が茂ります。草食動物たちは草食べ放題の状態になるので、
あちこちに散らばってしまうのです。
第2に、野生動物たちも、たいていの動物が水にぬれるのが好きではありません。
だから、雨上がりのぬれた草の中を、餌を探して歩き回るのが嫌なのです。
そこで、手っ取り早く家畜を襲おうと思うわけです。
なので、雨期は、家畜の被害件数が増加します。



わなを設置しに行くと、たくさんの人たちが見に来ました。
でも、何度もいいますが、ヒョウは人目につきにくい動物なので、
見たことある人は、ほとんどいません。
でも、多くの人は怖がっています。「小さい子供がいるから、襲われないか心配だ」
「うちのヤギが食べられないようにするには、どうすればいい?」
など、多くの質問が寄せられます。

質問に答えて、少しでもみんなの不安を解消するのも、
わたしの仕事だと思っています。

野生動物と人が、お互いを干渉し合わない、適当な距離を保つことが重要です。



住民のみなさんの協力を得て、箱罠を設置したところです。

人と野生動物の共存、難しいけれど、
せっかく大都市ナイロビに貴重な資源が残っているので、
それを誇りに思って、大切にしていければいいと思います。