強盗がいるかもしれないので、今回、レンジャーのおじさんはライフルを持参です。
保全地区に指定されているので、本来、許可された人以外は入ることができません。ただ乾季の草がない時期、許可をもらえばマサイの人々は牛を保全地区内で放牧することができるそうです。これは国立公園では禁止されていることなので、おどろきました。また、車ではいる道がなく、今回は獣の道のような細い道をMy Carでがんがん進みました。
途中で橋が壊れてしまって渡れないので、そこからは歩くことに。
歩いていると、野良犬が急にあらわれたり、隠れて木を切っている女性がいました。犬はヒョウの大好物で、この森には他にもブッシュバック、バブーン、レッドダイカー、スニなど、ヒョウの餌になるような動物が生息しているということで、ヒョウがこの森を好んでいる理由がとてもよくわかりました。また森も深く、車が通れないのでとても静かです。川もあるためヒョウの移動にはもってこいの地形でした。保全地区内で木を切ることは禁止されていますが、近所に住む住民がファイヤーウッド(薪)を集めに来ていました。レンジャーをみると一目散に逃げて行きました。ファイヤーウッドの他にも、お土産品の木彫りを作る用の木を、この保護区から盗んで行く者たちも多く、チェーンソウで切られた木の切り株をいくつも見ることができました。
また、このあとも歩いていると、3人の男たちが茂みの中へ逃げて行きました。カージャックをたくらむ人間や、強盗などが潜んでいます。ここは絶好の隠れ家になっています。
今回の視察で、この保全地区がヒョウにとって森や谷などの地形が、ヒョウの生息域として適切だということがわかりました。また、餌になる動物たちも豊富に生息していることがわかりました。その反面、強盗や野生動物を罠にかけて売りさばくような人々がうろうろしている場所だということもよくわかりました。2009年にこの森のすぐ外側でヒョウが罠にかかって左前脚を失い殺されてしまうという事件がありました。
このようなことが今後、おこることがないといいのですが。やはり公園の外にでてしまうと、いろいろな危険がともないます。しかしヒョウの行動をコントロールすることはできないし、コントロールしてしまっては野生でなくなってしまいます。
この保全地区を視察した日の夕方、この保全地区を保全している様々なステークホルダーの人たちが集まる会議に出席させてもらうことができました。その場を借りて、ヒョウの行動域を提示し、この保全地区がどれだけナイロビのヒョウにとって重要な位置を占めているかをお話させていただくことができました。森と共に、そこに住む野生動物たちも護っていきたいです。