2012年9月27日木曜日

サイ

 2012年、今日までにケニアで12頭のサイが殺されてしまったそうです。これはわかっているだけなので、本当はもっといるのかもしれませんが。ナイロビ国立公園はクロサイとシロサイがいます。どちらも、保全の目的で他の場所から連れて来られたものです。ナイロビ国立公園は面積が小さいため、管理がしやすいというのがその理由です。24時間体制で公園のレンジャーたちが密猟者から守るために見張りをしています。また、年に1度、ノッチングといって、サイの耳に切れ込みをいれて、個体識別をし、個体数管理をしています。



 写真はシロサイのオスです。ツノが切られています。これは他のシロサイのオスをツノで刺してころしてしまったため、切られてしまいました。ここまで管理するのは行きすぎかとも思うのですが、シロサイの数が減っているので、同じような事故を防ぐためのようです。

 
 毎年子供たちも生まれ、数も徐々に増えているようです。先日、マサイランドに行ったときに、年配の方に話を伺ったところ、50年くらい前は本当にたくさんの動物がいたと話していました。サイもたくさんいたようです。

 クロサイとシロサイの違いはいろいろありますが、木の芽を食べるのがクロサイで草を食べるのがシロサイです。クロサイの口は木の芽を食べやすいようにとがっていて、シロサイの口は平らになっています。クロサイは単独性でテリトリー意識が高く、シロサイは群れで行動します。


 写真はクロサイです。後ろに見えるのはナイロビの街並みです。こんなところにサイがすんでいるなんて、ちょっと信じがたいかもしれませんが、本当にいるんです。
 
 多くの観光客がナイロビは街に近すぎるので、動物がいないと思っているようで、ビジターの数が少ないのですが、実はたくさんの種類の動物たちが住んでいます。ビッグファイブと呼ばれる人気動物のライオン、ヒョウ、バッファロー、サイを見ることができます。唯一見ることができないのがゾウです。ナイロビの街にゾウが来てしまったら大騒ぎになってしまうことから、少しでもナイロビの街に近づいているゾウがいたら、追い払うようになっているそうです。

 ナイロビ国立公園は都市に隣接したとてもユニークな公園なので、このまま動物たちの種類と個体数を維持して、貴重な公園として保全していかなければならないと思います。

 
 


2012年9月21日金曜日

マサイランドへ

 ナイロビ国立公園の南側に広がるマサイランドに行ってきました!車で1時間ほど行ったところにあります。住んでいる人のほとんどがマサイの人々で、牛、ヤギ、ヒツジ、ロバなどの家畜を飼って生活しています。青空がとてもきれいで、ゴミが落ちていないのが、とても印象的な場所でした。



 今回この場所を訪れたのは、ヒョウの家畜被害状況を聞きに行きました。公園のすぐ外側ではライオンの家畜被害が多いのに比べ、この地域はハイエナとヒョウによる被害がおおいようです。家畜が殺されてしまっても、補償金などがなかなか支払われず、支払われても小額なために新たに家畜を買うのに十分でないということでした。「野生動物を殺したくはないけれども、自分たちの生活のためにしかたがない」「十分な補償金を支払ってくれれば、殺さない」と言った声が多く聞かれました。

 多くの人たちは30年近くまたはそれ以上この土地に住んでいて、家は簡素なものですが、400~600エーカーの土地を持っています。近くに、大規模なビジネスパークの建設がケニア政府によって予定されているため、ここ2年で土地の値段は大きく跳ね上がり、2年前は1エーカー5万円ほどだったものが、今は70万~80万円になったそうです。それでも、今のところここに住む人々は土地を売ることもなく、簡素な家に住んでいました。

 

 木で囲いがしてあるのが、夜、家畜を入れておく放飼場です。高さは150センチメートルほどでしょうか。ヒョウやハイエナが簡単に入ることができます。柵をもっと高する、あるいは屋根をつけることで、家畜被害は防げると思うのですが、その資金ないとのことでした。ケニアのいくつかの地域で、ライオンやヒョウに襲われない放飼場を作るプロジェクトがNGOなどによって進められていますが、それが有効に作用するのであれば、野生動物保全のためにも、普及させていくべきだと思うのですが。
 

 写真は、おととい生まれたド―パ(ヤギとヒツジ)。肉がおいしいので、よく飼育されているのをみかけます。



 石がゴロゴロしてみえるのは、Seasonal riverです。今は乾季なので水がありませんが、雨期になると川になります。この地域は乾燥すると草も少なくなってしまうので、家畜たちも家から離れた場所に草を食べに行くようです。雨季は、草はありますが、野生の草食動物を追って国立公園からでてきたライオンやヒョウ、ハイエナが家畜を襲いに来るので、夜は寝ずに番をしなければならないこともしばしばあるそうです。水は近くにある井戸水をくみに行くそうですが、遠くて大変だと話していました。ハイエナは通年襲いにくるようですが・・・

 地域の人々の生活も向上させ、野生動物も保全して、共存を目指すのがわたしのテーマですが、本当に難しい問題です。家畜が殺されてしまったときに補償金を出すというのも持続性がないので、家畜の放飼場を改善していくプロジェクトを近い将来立ち上げることができたらいいなと考えています。

2012年9月20日木曜日

GPS首輪のついたヒョウ

 今、2頭のヒョウにGPS首輪をつけています。1時間ごとの位置情報を記録しています。それが6時間おきに携帯電話の電話回線を利用して、インターネットから見ることができるんです。技術の進歩って、すごいものです。

 いつも6時間おきにパソコンからグーグルアースにデータをおとして場所を確認するんですが、ここがヒョウのすごいところで、場所がわかっているのにみつからないんです。ブッシュの密度が高すぎたり、岩の間に隠れていたり。

 昨日から、あまりブッシュが密じゃないところにいるという位置情報を取得したので、歩いてみることに。(道路からじゃ、みえないんです。)まわりはバッファローがいたりする所なので、慎重にいかなければいけません。

 レンジャーのおじさんと探すこと30分。



 どこに、ヒョウがいるかわかりますか??よく見てみて!!



 いました!!首輪がついているのも見えます。ヒョウは木の上で、ゆっくりねていました。
1時間ほど、30メートルくらい離れた草の陰から気付かれないように観察していました。夕方で日も暮れかけたころ、ヒョウはムクムクと起きだして、わたしたちに気づいてしまいました。するとあっというまに木からおりて、ブッシュの中に身をかくしてしまったのです。


 首輪がきちんと付いているのも確認できたし、彼女(ヒョウ)の健康状態も良いようだったので、安心しました!これからも、観察を続けて行きたいと思います。難しいのは彼女が国立公園から出て行ってしまうときです。彼女は公園内よりも外のほうが好きなので。
 

ブルーモンキー

 ブルーモンキーとバブーンが一緒に遊んでいたので、みていると、交尾をはじめました。たまにブルーモンキーとサバンナモンキーのミックスをみかけるけど、バブーンもありなんだろうか?思いながらみていました。それともこれはただ遊んでいるだけなのでしょうか?




2012年9月18日火曜日

道路建設

 ナイロビ国立公園のすぐ北側で大規模な道路建設が行われています。ナイロビの渋滞はとてもひどく、それを緩和するためというのは理解できるのだけど、この工事で野生動物の交通事故や、移動が制限されてしまうことがとても心配です。道路の幅を拡張するらしく、今日は国立公園の木を伐採しているのを目にしました。いたたまれない気分です。


 
 

 写真の左側が公園です。実は、ヒョウは車が少なくなる夜にこの道路を横切って右側の森に移動していることが、わたしの実施している調査でわかりました。何をしにいっているかというと、野良犬やイボイノシシを食べにいっているのです。公園の外の森には人も住んでいる地域が点在しているので、そこに集まる野良犬やイボイノシシを捕まえるために森へ行っていると考えています。また、この森も人家が点在するものの、まだまだ大きな木が残されているので、ヒョウにとっては住みやすい環境なのです。でも、この道路建設で森が縮小され、交通量が多くなったら、ヒョウの行動は今と違ったものになって来てしまいます。実際、今、追いかけているメスのヒョウも、以前は頻繁に公園の外と中を行き来していたのに、最近はほとんど公園の外に出ていて、道路を横切ることがほとんどありません。

 どうにかして野生動物のコリドー(動物の通り道)を確保できないか。いかに、国立公園の外側の環境が、動物たちにとって重要かということを、もっと多くの人に理解してほしいのですが、わたしはまだまだ力不足で、とてもはがゆい思いです。。。

2012年9月17日月曜日

ライオンたち

 ナイロビ国立公園は広さが117平方キロメートルしかないのに、ライオンが40頭以上います。ライオンは絶滅の危機に瀕しているといわれていて、アフリカ大陸に2000頭しかいないといわれています。それなのにここには40頭以上も。そしてこの季節、たくさんの子供たちもみることができます。いったい何頭いるのか。

 ライオンたちは、主にヒゲの付け根にある黒い斑点の数と位置で個体識別をします。よくみると顔もぜんぜん違います。





 雨季は、ライオンの餌となる草食動物が国立公園の外に出て行ってしまうので、彼らを追いかけてライオンたちも公園の外に出て行ってしまいます。そのとき、近くに家畜を見つけると、それを食べてしまい、家畜に依存して生活している人々たちとの間に軋轢が生まれてしまいます。野生動物と人々の問題は深刻化しています。


 
 先週あたりから、公園内でライオンをよく見かけるようになりました。草食動物たちも公園の中に戻ってきたようです。


夕日

 公園からみる夕日は毎日違っていて、今日は、雲があまりなかったので、ンゴングヒル(ナイロビ郊外にある山)に沈む夕日が空を染めてとてもきれいでした。


2012年9月14日金曜日

再開

  ずっと更新していなかったブログ、心機一転、再開することにしました!更新していなかった間に、ヒョウが2頭つかまり、昨年末には男の子が生まれ、ますます賑やかになりました。相変わらず毎日ヒョウを追いかけています。

  ヒョウのことだけでなく、毎日みる野生動物やケニアの生活を紹介できたらいいなと思っています。

 写真は昨年8月に捕まえたオスのヒョウ。今まで4頭つかまったヒョウの中で唯一のオスです。オスの行動はメスと違っていたので、今までわからなかったいろいろなことがわかるようになってきました。調査をしている国立公園でも10頭のヒョウがいることが確認できました。これはとても大きな収穫です!